私が小さい頃、ケーキが食べられるのは誕生日など、何かの記念日の時だけかと思っていました。幼少期のそういった思い込みのせいか、今になっても何もないときに食べる気がおこりません。周りの人が「食べたいから」という理由だけで買ってくることにも少し違和感を覚えるくらいです。

別に嫌いっていうわけじゃない・・・むしろ、プリンとかヨーグルトは好きでよく買うし、人にケーキをもらうと喜んでいる自分もいる。おそらく、自分で買って食べるという考え方が欠けているのかもしれません。

そんな私がタイトルからケーキ職人の話とわかってしまいそうな『洋菓子店コアンドル』を読みました。2011年、映画にもなっている作品です。
鹿児島で洋菓子店「手作りケーキ・うすば」を営んでいる両親の元に生まれた主人公の臼場なつめ(以下、なつめ)。5歳の頃に幼馴染の海千尋(以下、海)に「結婚してうちのケーキ屋で働こう!」と話し、21歳なったとき2人はなつめの実家で働いていました。

「手作りケーキ・うすば」はお世辞にも良い洋菓子店とは言える店ではないようです。地方にポツーンとある、競争社会に紛れない1店舗。その街の人たちだけにショートケーキ、チョコレートケーキなどオーソドックスなケーキを出す昔ながらのお店です。
なつめはそのお店で海と働けていることだけで満足でしたが、ある日突然、海が置手紙を残して東京に行ってしまいました。

なつめは何とか連れ戻そうと、東京で働いている海を追いかけます。東京に着き渋谷で財布を掏られ、無一文になったなつめが訪れたのは「洋菓子店コアンドル」。海が手紙にこの店で修行すると書き残していたからです。しかし、この店に来ても海はいませんでした。

この作品はそこからなつめが人間として、パティシエールとして成長していく姿を描いたヒューマンドラマでした。
なつめはバリバリの田舎者なので、東京に出てきて色々なギャップに苦しみます。しかし、世間知らずというか、前向きというか、楽天的というか・・・その元気ある性格で目の前のことに集中し、みるみると成長していきます。

なつめの素直なところも見所の一つです。なんでもそのまま受け取る性格で先輩上司とも度々ぶつかりますが、ストレートに受け止めるので自分の身になるのも早い。そんなところは私も見習うべきだなと思いました。(まー、最近は事勿れ主義になってますがね!w)

店舗良く物語が進むのでスラスラと読み、わずか1時間半で読了でした。展開が速いので一気に読まないと気持ちが入っていかない作品かもしれません。なつめの人間性は気持ちが良いので、彼女がケーキに感動している姿が心に染み、私もケーキが食べたくなってきちゃいましたw(単純)
気軽に読める一冊なので、皆さんも通勤のお供にいかがですか?

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